余談ですが、先日国会議事堂付近を通りかかった際、反与党のデモ集団に遭遇しました。赤信号に引っかかり、しばしその様子に耳を傾けることができたのですが、改めて最近のデモはリズミカル! 先導者が叫ぶ文言を集団が復唱するスタイルは変わらないものの、太鼓やタンバリンの四つ打ちに合わせて「麻生は辞めろ!」「アソウワヤ・メ・ロ!」「責任取れよ!」「セキニント・レ・ヨ!」といった感じで、かなり速め(BPM145ぐらい)です。「嘘をつくな!」「ウ・ソ・ヲ・ツ・ク・ナ!」に至ってはハチロク(8分の6拍子)刻んでます! そのまま「上野発の!」「夜行列車!」と叫び出す勢いでした。スポーツ応援もだいぶテンポが上がりましたし、昔ながらの三三七拍子を継承しているのは、今や高校野球ぐらいでしょうか。ヲタ芸に代表されるアイドルのコールも裏を打つのが主流です。

 そう考えると、25年以上も前に♪ショショショ・ショショショ・ショーコー♪という裏打ちリズムで選挙運動をしたオウム真理教は、ある意味斬新だったのかもしれません。日本人にとって『裏でリズムを取る』というのは、お洒落な半面チャラチャラして小っ恥ずかしいイメージがどうしても付き纏います。久保田利伸や鈴木雅之、吉田美和的なリズム感は、まだまだ素人がおいそれと手を出してはならない鬼門なのです。あと、デモ隊の人のマイクの握り方が、ラッパーもしくは声量のない人がカラオケを歌う時のそれでおかしかった。

週刊朝日  2018年3月30日号

著者プロフィールを見る
ミッツ・マングローブ

ミッツ・マングローブ

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

ミッツ・マングローブの記事一覧はこちら