松坂:それは三浦さんに聞いてみないとわかりませんが、ほんとありがたかったですね。

林:この映画、女優さんもいいんですよね。オーナー役の真飛聖さんは美しいし、その娘役の咲良ちゃん(冨手麻妙)もかわいいし。

松坂:女優さんはこういう作品に出るだけでも覚悟がいると思うので、その思いをしっかりと受けとめなきゃいけないと思いました。

林:夫を亡くした老女役の江波杏子さんも、すごい迫力でしたよ。

松坂:本当に。もしかしたら、劇場で笑う人もいるかもしれないって思いましたね。ふだん人に見せないああいう柔らかい部分って、意外と滑稽だったりしますから。西岡徳馬さんの場面とかも。

林:自分の若い妻をほかの男に犯させてエクスタシーを感じるという。ああいう夫婦って、いそうな気がする。また、熱海というのもなんだか淫靡な感じがあって(笑)。

松坂:アハハハ、そうですね。

林:いま私、新聞に小説を連載してるんですけど(「愉楽にて」)、性描写を書くとそればっかり取り上げられて「ポルノ小説だ」とか言われたりするんです。本質はもっと別のところにあるのに。この映画もそんなふうに見られたら、演者としては不本意ですよね?

松坂:いえ、入り口はそれでいいと思います。この作品が発表されて、「エロ」とか「めちゃめちゃセックスしている」とか、そういうわかりやすい表面的なものがネットニュースとかで見出しになったりするんですね。話題になりやすいし、そういう題材でもありますし、それによってこの映画のことを知ってくださる方もいる。全然いいです。「あり」です。

林:「あり」ですか。

松坂:むしろ、そういう感じで来ていただいてかまわない。上映開始15分ぐらいでその表面的な部分はマヒしてくると思うので、そこからがこのお話のスタートなんです。この映画で描かれていることって、人のすごく柔らかい部分だと思うんですね。体と体のコミュニケーションでお互いの柔らかい部分をやりとりして、共有する。そういうやさしい作品だと僕は思うんです。

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