安倍首相の応援団が、安倍支持者=愛国者、反安倍=売国奴みたいなレッテルを貼っていくのと同様に、憲法改正=自衛隊に好意を持っている人、憲法改正反対=自衛隊を憎んでいる人、という単純で歪んだ決めつけを行っているのかもしれない。

 なにを馬鹿な、という以外にない。安倍さんが自衛隊員一人一人の命のことなど考えているか? あの方は、首相としての功績として、憲法改正をしたいだけなんじゃないか? だから、なんら変わりはないけど、変えたい、などというのではないか?……そう思っていたけど、ちょっとまた考えが変わったな。

 功績とか名を残すとか、そんな可愛いことじゃないかも。安倍さんは安倍王国を作りたいんじゃない?

 安倍さんと安倍友のために、この国の行政は歪められた。もっか、司法や立法も怪しい感じ。

 朝日新聞がスクープした森友文書の改ざん、もとの文書は今や財務省ではなく、大阪地検にあるそうだが、「だったら大丈夫だ」と、そう思えなくって。

 そのうち国会前のデモに対して、本気の自衛隊を向けられたりしてね。

 自衛隊にシビリアンコントロールは重要であるが、今、もっともそれが必要なのは、自衛隊の最高指揮官の安倍総理に思える。意見が違う学者たちの話にだって、少しは耳を傾けてくれ。

 もうずいぶんこの国は、違った国になってしまった。

週刊朝日 2018年3月23日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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