いずれ迎える配偶者との離別や介護。最期まで自宅で過ごすか、施設に移るかの判断を迫られる時期が来る(写真はイメージ)(c)朝日新聞社
いずれ迎える配偶者との離別や介護。最期まで自宅で過ごすか、施設に移るかの判断を迫られる時期が来る(写真はイメージ)(c)朝日新聞社
利用料金別にみた高齢者施設の分布状況(%)
利用料金別にみた高齢者施設の分布状況(%)

 高齢者向けの施設は種類が多く、月額費用や入居一時金にも大きな差がある。

【図表でみる】利用料金別にみた高齢者施設の分布状況

有料老人ホームは、企業による運営も多い民間施設だ。月額利用料10万円未満の施設が25%を占める一方で、30万円以上の施設も次いで多い。一時金もゼロ~数千万円と、立地場所や提供サービスの内容で違う。要介護度1~5の人が24時間態勢で介護を受けられるのが介護型で、元気なうちに入れるのが住宅型だ。

 有料老人ホームと並び、多くの人が選択肢とするのが、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)。60歳以上の高齢者や要介護者対象で、生活相談や1日1回以上の安否確認のサービスがある。入居へのハードルが比較的低く、介護施設に入れない人の受け皿として11年の制度開始からの5年で約20万戸に増えた。

『高齢者施設 お金・選び方・入居の流れがわかる本』の著者で、介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんはサ高住選びについて、こう話す。

「入居一時金は不要ですが、月々払う料金は立地やサービスの中身で施設間の差が大きい。“玉石混交”で、見極めるのが難しいです。有料老人ホームより低額ですが、介護が必要になると外部の居宅介護支援事業所と契約し、介護保険の居宅サービスを利用することになります」

 施設によっては有料老人ホーム並みの金額になる。要介護度が重くなったら退去を迫られることもあり、サービス内容や条件を確認することが大事だという。

 特養待機者には、社会福祉法人などが運営する老健に入る人も多い。特養と同様に一時金はなく、多床室型とユニット型で価格差がある。要介護度が重くなるごとに、費用も上がる。

 太田さんは、施設に入る際の“長生きリスク”についても注意を呼びかける。

「資金計画で失敗する人は、入居から亡くなるまでの期間を短く想定しすぎ、途中で資金が底をついてしまう。今は70代でもお元気な人が多く、施設入居を考えるのは80代になってからだと思います。90歳までの10年間だけでなく、100歳までの20年分を想定するほうが資金的にはより安全です」

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