林:福澤諭吉の玄孫(やしゃご)なんですよね。
溝端:そうです。福澤さんが熱い方で、現場もいい意味での緊張感がありました。台本では松宮は加賀に敬語を使っていたんですけど、「加賀と松宮の二人だけのときは、くだけた口調で話しかけることはできませんか」と監督に提案して、やらせていただいたり。それは成功だったなと思いますね。
林:ネタバレになっちゃうからあんまり言えませんけど、松嶋菜々子さんには涙、涙で。私、あの「砂の器」を思い出しました。
溝端:僕もそう思いました。
林:そして加賀恭一郎にあんな過去があったとは知りませんでしたよ。
溝端:シリーズ通してのナゾだったので、それを最後に明かして。
林:最後なんですか?
溝端:日本橋署での話は、これで終わりですね。もしかしたら加賀恭一郎シリーズは続くかもしれませんが。
林:続いてほしいですよ。(パンフレットを指して)こんなに大きく「さらば」とか書かれちゃって、人形町の皆さん、ガッカリしてるんじゃないですか。
溝端:「さみしい」とは言ってましたね。でも、「麒麟の翼」以来6年ぶりの映画化なので、まずそれを喜んでくれました。「帰ってきてくれてありがとう」と、両手に抱えきれないぐらいのお土産をくださったり。
林:人形焼きとか?
溝端:人形焼きとか煎餅とか和菓子とか。「どこそこの大将から差し入れです」「あ、お礼言わなきゃ」「もう帰っちゃいました」みたいなことも多くて、粋なんですよね。8年ぐらいの付き合いですから、第二の故郷みたいになってます。
林:それにしてもこの映画、すごい方々が出てるんですね。山崎努さん、伊藤蘭さん、小日向文世さん、及川光博さん、烏丸せつこさん……。私たち世代にとって烏丸せつこさんといえば超セクシーな美人女優さんでしたけど。
溝端:すごい女優さんですが、セクシーなイメージはあまりなくて……。
林:そうですよね。年齢、お母さんより上かな。