室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
(c)小田原ドラゴン
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 作家の室井佑月氏は、世間は安倍晋三首相に「もう飽き飽き」しているのではないかという。

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 巷の様子が変わって来ている気がする。

 あたしのまわりの人々は、年末からほとんどテレビを観ていないといっていた。いや、ドラマなんかは録画して観ているんだと。

 なにがイヤなのかというと、テレビで安倍首相の顔を観るのがイヤなんだって。

 わかるぅ。もういいよな。去年の選挙のとき、さんざんCM観せられたもん。CM以外にも、ミサイル飛んで来たら勇ましいこという安倍首相、トランプ米大統領やプーチン露大統領が来日すれば親密さアピールの安倍首相、ほかにも桜を見る会とか中身のない会見とか、彼のPR映像をこれでもかってくらい押し付けられてお腹いっぱい!

 北朝鮮に関していえば、安倍さんの発言だけを取り上げるのではなく、世界のトップの発言も取り上げるべきであったし(安倍発言は明らかに浮いていた)、トランプやプーチンの来日は、なにを食うか、どんなもてなしをするかじゃなく、その後、物事がどう動いたかを放送すべきだった(大量の武器の購入を約束させられたとか、北方領土問題に動きはなかったとか)。

 もう飽き飽きと感じているのは、あたしとあたしのまわりの人間だけじゃないはずだ。

 巷の空気に聡いマスコミの人々が、去年からちょっとずつ動き出している。

 去年の総選挙特番では、各局、小泉進次郎さんを取り扱いたがった。彼は人気者だしな。

 その流れか? 先週、本屋へいったら『文藝春秋』の2月号がレジ前に積み上げられていて、その目玉記事は、『<特別対談>小泉進次郎×塩野七生』だったわい。塩野七生さんが、小泉進次郎さんに、はよ、立て!と発破をかけるという内容であった。ほんでもって、1月10日には、進次郎さんのお父ちゃん、小泉純一郎元首相らが『原発ゼロ・自然エネルギー基本法案』についての会見を開いた。

 そこで小泉元首相は、「いちばん早いのは自民党が原発ゼロを進めること。これは不可能ではない。新総理がゼロの方針を打ち出せば自民党はガラッと変わる」と述べた。安倍さん辞めろ、といったんだ。

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室井佑月

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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