だから、次の新しいエネルギーに移行できない。コストが高く、管理も難しくて世界がやめようとしている原発から、離れられない。

 この国は、なぜ戦争へ突き進んでしまったのか、それは誰の責任なのか、もっと真剣に、ずっと考えつづけるのでいい。そのくらい戦争の責任は重いものだ。

 それができていれば、安倍首相みたいなのが現れなかった。

 世界から眉をひそめられる歴史修正主義的な発言も出てこなかったはずだし、この国も戦争ができる普通の国に、なんて考えはしなかったはず。

 メディアも先の戦争から、反省が足りてないのか? 米国と一緒になってお隣の小国に拳を上げる行為を、なぜ一丸となって非難しない。再び悲惨な戦争で、この国の人間が大勢死のうが、またまた自分ひとりの責任じゃないからいいっていうのか?

 あたしは今の世の中が安倍一強になったのは、政治家としての安倍さんが強いということじゃなく、この時代の流れの中のクライマックスだからだと思っている。

 戦争で時代の一区切りではなく、そこにいきつく前に、間違ったこの流れは止めなくては。アベ的なものの登場が、この時代の終わりだと信じたい。

 2018年、なにかがガラリと変わるなら、そこよ。

 ノーベル平和賞を『ICAN=核兵器廃絶国際キャンペーン』が受賞したのを、唯一の被爆国であるこの国が素直に喜べない。おかしいって思わない?

週刊朝日 2018年1月5-12日合併号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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