一般参賀の人たちに手を振る両陛下、皇太子ご夫妻、秋篠宮ご夫妻=2017年1月2日(c)朝日新聞社
一般参賀の人たちに手を振る両陛下、皇太子ご夫妻、秋篠宮ご夫妻=2017年1月2日(c)朝日新聞社

 元日午前5時半。御所にて天皇の「四方拝」が始まる。この祭祀は平安時代初期から続いているとされ、伊勢の神宮や山陵、四方の神々を拝み、国の安寧や五穀豊穣を祈る。静岡福祉大の小田部雄次教授(日本近現代皇室史)によると、最も重要な宮中祭祀の一つであり、天皇の代拝は立てないという。

 その後も行事がぎっしりと詰まっている。おせち料理の元祖とも言われ、めでたい膳を神に捧げるために、箸をつけるだけの儀式である「晴御膳の儀」が終わると、「祝賀の儀」へ。松の間、竹の間、鳳凰の間、梅の間と場所を移しながら、皇族や、首相、閣僚、衆参両院議長、最高裁長官、各国の駐在大使公使夫妻らのあいさつを受ける。儀式は午後まで続く。「それぞれのあいさつは立ったままですから、お体への負担も大きく、元日から大変な行事をこなされています」(小田部教授)

 正月の食事と言えば雑煮だが、夜の儀式である「入夜御盃」でようやく登場する。宮内庁大膳課にいた故渡辺誠氏の書物によると、は和菓子担当がつく。直径約3センチ、厚さ1~2センチの丸餅を三つ、お湯で柔らかくもどし、椀に入れる。鶴に見立てた小芋と亀の甲羅のように切った大根を添え、白みそ仕立てにしている。

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