「1年で使う薪は軽トラック20台分ほど。近隣の森林ボランティア団体の活動に参加して、間伐材をもらってきたり、近所の製材店から、軽トラ一杯500円で端材を譲ってもらうなどして賄います」

 地元民や移住仲間との交流が、今の暮らしを支える力になっているという。妻の洋子さんも地元で開催される朝市などのイベントを通して、自家製クッキーなどの販売をしている。

「人と関わらなければ暮らしは回りませんが、それこそがこの生活の楽しみですね」(洋子さん)

 さらにワイルドな「東電フリー」生活を満喫しているのが、埼玉県秩父市の新井亮介さん(29)だ。「82坪で20万円。軽トラを買うよりも安かった」と本人も笑うほどの格安で土地を購入。ほぼ一人、独学で昨年建てた小屋に暮らす。

「全部で100万円かかってない」という家には、電気、ガス、水道はナシ。川の水を生活用水とし、飲料水は近所の道の駅で汲んでくる。煮炊きはたき火とカセットコンロ。トイレはブルーシートで囲ったバケツで済ませ、風呂は近所の銭湯へ。照明と、携帯などの充電は、ソーラーパネル2枚で賄う。オンラインでネットにもつながっているが、

「『電気がない家に光回線を引いたのは初めて』と、電話会社の人が呆れていました」

 普段は9時5時勤務のサラリーマン。車で約40分の水源管理会社でダムの保全を担うが、休日は猟師となって山野に獲物を追う。最近は婚約者の青木翔子さん(28)が、武甲山の登山口に開店したカフェ「LOGMOG cafe&shop」の隣に建てる新居の建築に忙しい。婚約者の目に、彼の小屋住まいは、どう映っているのか?

「私もどちらかというと都会的な『モノを持ってナンボ』の世界に疑問を感じていたので、なににも縛られない生活を実行している彼が、東京の男子より断然、頼もしく見えます。トイレだけはいただけませんが」

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