『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)の著者で、住宅ジャーナリストの榊淳司さんはこうアドバイスする。

「都内のいいマンションは、約30年の家賃分を出さないと買えない状態になっている。これから買うのはなるべくやめた方がいい。投資用としてマンションを複数持っている人は、高値のうちに早く整理すべき。年をとると家を借りられなくなると心配する人もいるが、これからの日本では人口が減り、家は余る。いまマンションを買って長期ローンを払い続ける方がリスクが大きい」

 持ち家信仰は根強いが、一生賃貸で暮らすのも選択肢だ。高齢者でも借りられるマンションは増えているし、公営住宅もある。家族構成が変わった時に、引っ越しをしやすいメリットもある。

 牧野社長も、いまは買い時ではないと言う。

「建築費が高騰していて、業者も新たな建設を控えている状況です。東京五輪のころには需要が減って、建築費も下がる。2022年問題もあって、5年も待てば不動産は安くなる。どうしても買いたいという人は、新築より中古を買った方がいいでしょう」

 その上であえておすすめのエリアを聞いてみた。

「全体的に不動産市場が縮小している中でも、値上がりしているエリアもある。例えば川崎市の人口は約150万人で、毎年約9万人が転出して、約10万人が転入してくる。人の出入りが多いエリアの不動産は価格も上昇しますから買いです。川崎市や福岡市がそうですし、都内でも足立区の北千住や立川の駅周辺などエリア別に見ると何カ所かあります」

 バブルは歴史上、膨らんではしぼむことを繰り返してきた。不動産価格の上げ下げに一喜一憂せず、いまから崩壊に向けて準備をしておこう。

週刊朝日  2017年9月29日号より抜粋