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増加する認知症患者の身体拘束 本当に“仕方がない”のか

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週刊朝日

腹部・手足用ベルト、マグネットキーで自分では外せない。(長谷川利夫教授=提供)

腹部・手足用ベルト、マグネットキーで自分では外せない。(長谷川利夫教授=提供)

精神科病床で身体拘束を受けた患者の数(週刊朝日 2017年9月22日号より)

精神科病床で身体拘束を受けた患者の数(週刊朝日 2017年9月22日号より)

 身体拘束を受ける患者の数が増え続けている。背景として考えられるのが、認知症と診断される人の増加。転倒などを避けるため、安全管理の側面もあるが、やむを得ない処置なのか。医療ジャーナリストの福原麻希が拘束ゼロの取り組みから、その答えを探った。

【精神科病床で身体拘束を受けた患者の数はこちら】

「どうして、こんなことになってるの?」

 30代の女性は病院へ祖母のお見舞いに行ったとき、ベッド上の姿を見て、驚いた。両手首がベッド柵に固定され、胴にも太いベルトが締めてあったからだ。ベッドの周囲は柵で囲われていた。

「取って。痛いし、動けないの」

 祖母は女性にそう訴えた。あわてて、女性が看護師を呼ぶと、こう言われた。

「『家に帰る』とベッド柵を乗り越えようとしたんです。転落して骨折しかねません。安全のための『抑制』です」

 祖母は認知症が進み、徘徊や暴力的な言動が目立つようになっていた。入院前、自宅で興奮して大声を出したり、入浴時には服を脱ぐのを嫌がり、娘である女性の母親にかみついたりしたこともあった。

 母親は症状の改善を期待して、精神科病院に入院させた。身体拘束に関しては、病院からあらかじめ同意書に署名を求められ、「必要なら」とサインしたという。

 女性の祖母のように、自らの意思で身体を動かせないように道具で抑える「身体拘束」の問題について、今、改めて関心が高まっている。拘束を受ける患者が増え続けているからだ。

 厚生労働省と国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所が毎年作成する「精神保健福祉資料」によると、全国の精神科病院および一般病院精神科病床の入院患者のうち、2003年に身体拘束を受けていた患者数は全国で5109人だったが、14年には1万682人と約2倍増となった。

 精神科病院や一般病院精神科病床で医師(精神保健指定医)が必要と認めた場合、身体拘束は違法ではない。精神保健福祉法に基づく「一時的で、代替方法が見出されるまでの間のやむを得ない処置(行動制限)」にあたる。


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