2008年に現役復帰してから、一時は女子シングルスの世界ランキングで50位以内にまで上がった。40歳を超えてもウィンブルドン選手権で3回戦に進出するなど、結果を出した。

 思い出の試合について問われると、伊達はやはり、シュテフィ・グラフ(ドイツ)との激闘をあげた。96年に有明コロシアムであったフェドカップ(国別対抗戦)で、当時世界ナンバーワンのグラフと長時間戦って勝利した試合が忘れられないという。同年のウィンブルドン準決勝でもグラフと、日没での中断を挟んで2日間に渡って戦った試合も思い出深いとした。

「グラフはダントツの強さでした。真のアスリートで、目標とか憧れとか呼びたくても呼べないくらいの格別の存在でした」

 3度目の現役復帰の可能性を聞かれると笑顔で、

「やれるなら本当は続けたい。でもさすがにもう無いですね」

 9月12日には、現役最後の大会となる「ジャパンウイメンズオープン 2017」(会場・有明テニスの森公園コート)に挑む。

「肩の痛みがひどくて、本来の自分自身の思うようなプレーが何パーセントできるのか、ふたを開けてみないとわからない。アドレナリンが出て痛みが忘れるかどうか。何か見えない力がいてくれると信じる」

 今後の活動については明言しなかった。

「今は、まず試合のこと、次に肩のこと。それと並行して、少しずつ自分が何をやりたいか、できるのかを考えていくのかなと思っています。だから1回目の引退の後のように、しばらく何もしたくないとか、ラケットも握りたくない、コートも見たくないということにはならないと思います」

 今度は本当にコートを去るが、全てを出し切った伊達は会見中も終始笑顔だった。(本誌・大塚淳史)

※週刊朝日オンライン限定記事