福井県のブランド米「いちほまれ」の試食会(ホテル椿山荘東京)で振る舞われたおにぎり
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品種・食感マトリックス(週刊朝日 2017年9月15日号より)

 深刻な「コメ離れ」が叫ばれる一方、世の中にはブランド米がわんさかと誕生している。そうであれば、「食欲の秋」に向けて、おいしいコメを学びたい!

【銘柄別に食感、歯ごたえを分析した「品種・食感マトリックス」はこちら】

 日本穀物検定協会の食味試験によって、「特A米」とランク付けされた米銘柄は、平成に入った1989年度では魚沼コシヒカリなど13だったが、2014年度には40を超え、16年度は44となった。「コメ離れ」も指摘されるが、毎年のように高級ブランド米が誕生し、まさに群雄割拠の戦国時代の様相だ。

 流行の発信地、原宿。ここに1930年から店を構えるのが「小池精米店」だ。20坪の店内で、常時70~80種ものコメを扱い、1日に600~700キロ、多い時で1.5トンを販売する。場所柄、外国人や富裕層も多く来店するが、

「すしパーティーやるから、ブレンド米作ってよ」

 こんなリクエストもある。すしやカレーなど、作る料理に合わせたコメをブレンドする。すると、

「品種では表現できない新しい味になる」

 と3代目店主で五つ星お米マイスターの小池理雄さんが教えてくれた。コメが自宅に何種類もあれば、自分でもブレンドができる。

「ワインセラーみたいに、お米セラーがあってもいいのでは」(小池さん)

 味の好みのタイプを知るのも肝だ。小池さんは、コメを「見た目」「匂い」「粘り」「硬さ」「うまみ」「甘み」「食感」「喉ごし」の8項目で5段階評価し、八角形のチャートにするという。そうすると、好みのコメのタイプが「見える化」されるというのだ。

 そこで、コメに精通する小池さんに、薦める銘柄を世代別に選んでもらった。甘みがわかりやすい「ゆめぴりか」は、濃い味に慣れている30代、粒を噛み締めるとうまみと食感が堪能できる「つや姫」は、落ち着きの出てきた40代向け。コメの王道「魚沼コシヒカリ」は、人生経験を積んだ50~60代に。高級な味を判別できるからだ。ガツガツせずに、のんびりと過ごす70代には、咀嚼をし、優しい甘みを味わえる「ササニシキ」を薦めてくれた。

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