創業110年の米店、山田屋本店(東京都調布市)の秋沢美佳さんに聞くと、

「数年前から各県イチオシの新品種が次々と登場しています。それぞれ食味が異なるので、消費者の選択肢は増えましたね」

 同店の直営店である「お米館」(同市)には、温度管理を徹底させたコメセラーから、コメと合う食材などもそろう。週末には健康志向の子育て世代が多く訪れ、栽培方法も確認しながら選んでいくという。

「安定的に人気なのは『つや姫』です。つやがあって喉ごしがよく、味がぶれないからです」(秋沢さん)

 秋沢さんは料理に合わせたコメを選んでくれた。

「たとえばスープカレーには、粘りのある『ゆめぴりか』。卵かけご飯には、粒がしっかりとした『さがびより』。チャーハンには『たかたのゆめ』。すし飯には『つぶぞろい』を。粒が大きめで口の中でほろほろします。粘りも強くて弾力があります」

 秋沢さんにも世代別お薦め銘柄を聞いてみると、

「粘りすぎずさらっとした食感の『銀河のしずく』は20代、香りが良くて噛みごたえのある『青天の霹靂(へきれき)』は30~40代、弾力があり甘みも強い『新之助』は50~60代、柔らかく粘りがあって、あまり咀嚼をしなくても甘みを感じられる『ミルキークイーン』は70~80代に。喉ごしが良くつやがあって、バランスのとれた『つや姫』は世代を超えてお薦めです」

 冷めてもおいしいのは「ひとめぼれ」と「ミルキークイーン」という。このようにコメの特性を知って料理することで、ワンランクアップのおいしさが追求できそうだ。

 冷めてもおいしいコメといえば、おにぎりだ。でんぷんは冷めるとレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)に変化。消化されにくくなり、グルコースとなってエネルギーに変わるまでに時間がかかるため、太りにくいと考えられている。「糖質オフダイエット」がブームだが、疲弊した人も増えてきた。そこで「炭水化物戻り」だ。おにぎりを健康食と再認識する人が増え、日本のソウルフードに注目が集まったのだ。一般社団法人おにぎり協会代表理事の中村祐介さんは、

「半年で7キロ落ちました」

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