尾上松也があえぎ声!? ドラマ「さぼリーマン甘太朗」の魅力 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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尾上松也があえぎ声!? ドラマ「さぼリーマン甘太朗」の魅力

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(c)カトリーヌあやこ

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 漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏は、「さぼリーマン甘太朗」(テレビ東京系 木曜25:00~)で、尾上松也演じるスイーツ好きなサラリーマン役の好演を軸に同作の魅力を語る。

*  *  *
 出版社のやり手営業マン飴谷甘太朗(尾上松也)。スキのない男がひた隠しにする秘密。それは、すみやかに仕事を片付け、余った時間に心行くまでスイーツを食べ歩きすることだった。

あんみつ、かき氷、豆かん、パフェ。実在する店を訪れて、実食し感想を述べるスタイルは、ほぼ「孤独のグルメ」の甘味版。

 ただし「孤独─」の文脈はハードボイルドだ。松重豊演じる井之頭五郎は、強面(こわもて)ながらメニュー選びに悩むナイーブさを持ち合わせ、一匹狼の私立探偵のように孤独にグルメする。

 一方、甘太朗はスイーツを口に運んだとたんに白目。青ひげが濃い口元から、思わず漏れる「あっぁ~ん!」というあえぎ声。もはやさぼリーマンと言うより、キモリーマン。

 甘味がもたらす恍惚に身もだえる男。そう、このドラマの文脈は官能小説なのだ。考えてみればハードボイルドも官能小説もグルメルポも独白が命。そして、食欲を満たす行為も、性欲を満たす行為も、一瞬の快楽にすぎないから。

 仕事をサボるという背徳行為が、更にその快感を高める。猛暑の日、より美味しくかき氷を食べるためにスーツを着込み、ワイシャツの下にヒートテックまで着用する甘太朗。「スイーツマゾヒスト」と、ド変態を自称する。

 そんな甘味が導く脳内トリップ世界では、毎回液体まみれになるのがお約束。桃のパフェを食べれば、連なるお尻のような桃の丘から噴き出す桃汁ブシャーッ。あんみつの時は頭上から降り注ぐ蜜の滝。これまた色白な松也の肌質が餅っぽいというか、求肥(ぎゅうひ)っぽいので、蜜がよくなじむんだな。

 この妄想パートのVFX映像のクオリティーがやたら素晴らしくって、そこで頭がマスクメロンになった甘太朗が「ラ・ラ・ランド」風に踊り出す姿を見てると、目が点を通り越してこっちも白目。ちなみにスイーツの製造過程の映像も、「プロフェッショナル 仕事の流儀」てくらい美しく、いい意味で違和感たっぷり。

 エロいもキモいも、やりきれば笑いに昇華する。ちょっと前、壇蜜を起用した宮城県の観光PR動画が、エロすぎじゃないかと炎上したけれど、あの「肉汁トロットロ。牛のし・た」とか「あっという間にイケちゃう~」てセリフ、この甘太朗がやったら、みんな許したはず、きっと。

週刊朝日 2017年9月1日号


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