広陵・中村奨成(撮影/写真部・東川哲也)
広陵・中村奨成(撮影/写真部・東川哲也)
花咲徳栄・清水達也(撮影/加藤夏子)
花咲徳栄・清水達也(撮影/加藤夏子)

 8月23日、第99回全国高校野球選手権大会の決勝戦を迎える。勝ち進んだのは、中国の名門と、決勝戦進出は初めてという関東の新鋭だ。

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 広陵(広島)の中心はなんと言っても3番捕手の中村奨成。ここまで、不滅ともささやかれてきた清原和博氏が記録した「1大会個人最多本塁打記録(5本)」に、準決勝の天理戦の初回にあっさり追いつき、さらに5回にこの日2本目となる本塁打をバックスクリーンに派手に打ち込んで、新記録を樹立した。さらに中村の打点は「17」となり、「1大会個人最多打点記録」も更新した。

「これからもホームランは打てると思う。チームを勢いづけるバッティングがしたい」(中村)

 中村は鉄砲肩も魅力で、二塁ベース上に豪速球がぴたりと届く。2回戦の秀岳館戦で1盗塁を許したが、自身の記憶によれば、それが公式戦では1年ぶりだったという。その肩は試合前ノックから披露されるので、決勝戦を球場観戦するのであれば、ぜひそこから楽しんでほしい。

 中村以外にも打線は活発で、ここまで5試合で44得点を挙げている。気がかりは投手陣だ。平元銀次郎、山本雅也の両左腕に疲れが見える。早めに打線の援護が必要だろう。

 広陵の決勝戦進出は10年ぶり。第89回大会で佐賀北に敗れた。中井哲之監督は「特別な感慨はない。なるようにしかならない」といったんは素っ気なく語ったが、しばらくして、「そりゃあ悔しかったですよ。でもあの悔しさがあったから、前に進めた」と力を込めた。そして中村の「10年前の借りを返したい」という発言を報道陣から聞かされ、「ほんとですか。あいついくつやったんや」と大笑いした。

 花咲徳栄(埼玉)の原動力はタイプの違う2人の投手だ。先発するのはカーブ、スライダー、ツーシームをコーナーに投げ分ける「柔」の綱脇彗。そして今大会MAXの150キロを投げた「剛」の清水達也が抑えに回る。

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