ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の最寄り駅、JR西日本のユニバーサルシティは3.1万人と7.4%も増えた。USJの16年度の年間来場者数は約5%増の1460万人。新型ジェットコースターの導入や開業15周年のイベントが功を奏した。

 JR西は、兵庫県内の駅の減少が目立っている。

 ただ、実は沿線に新駅が開設された影響もある。灘は7.4%減だが、16年3月にすぐ隣に摩耶が開業している。1.2%減の姫路の隣には、同じ時期に東姫路ができている。両駅とも利用客の一部が新駅に移ったようだ。また、阪神電鉄の西灘も16.8%の大幅減だが、新設されたJR摩耶と数百メートルの距離だ。

 関西のJRと私鉄の競争は首都圏以上に激しい。大阪と神戸の間は、JR、阪急、阪神が並行するように走り、利用客を奪い合う。

 近年は、新快速などを走らせて所要時間の短いJRが、私鉄の利用客を奪う流れが続いてきた。スピードで勝るJRが新駅開設で便利になると、私鉄の乗降客がより流れる可能性がある。

 そんななか、私鉄でも特徴ある駅は乗降客が増えている。阪急の西山天王山は9.5%増。同駅は京都縦貫自動車道と直結し、駅から高速バスにすぐ乗り換えられる。宮津・天橋立方面など京都北部への移動に便利だ。

 外国人観光客の増加などで、空港アクセス駅も好調。南海電鉄の関西空港は前年比16.5%増。また、大阪空港へ行くモノレールの乗換駅、阪急の蛍池(ほたるがいけ)も3.7%増だった。

 関西では、関西空港へのアクセスを便利にするため、大阪駅北側と難波地区とを結ぶ新線「なにわ筋線」の計画も、2031年開業に向けて動いている。

 首都圏と同様に、関西でも大型商業施設の開業が駅の姿を大きく変えている。

 南海の七道(しちどう)は37.3%の増加。16年3月に駅前に「イオンモール堺鉄砲町」が誕生した影響が大きそうだ。9.2%増の阪急の洛西口も、14年に「イオンモール京都桂川」が駅近くにオープン。周辺に大型マンションも新築されており、買い物客と通勤客がともに増えた。

 阪急の西宮北口は複合施設の「阪急西宮ガーデンズ」が人気なうえ、新たなマンションも数多く建っている。地元では“ニシキタ”と呼ばれ、「SUUMO住みたい街(駅)ランキング2017関西版」で、5年連続1位に輝いた。

 大手民鉄16社の16年度の輸送人員をみると、関東の9社は平均1.4%増に対し、関西の5社は同0.7%増だった。伸び率の大きな差に、東京一極集中の影響の大きさが表れている。

週刊朝日  2017年8月18-25号