「講演は結構、金かかるんよ。中でも櫻井よしこさん、結構高かったよ。講演料80万(税別)。秘書の人とギャラの交渉したんやけど、『通常100万ですが、幼稚園だから、少し安くします』って話になって80万になった。ありがたい話やなと思ったよ」と、前理事長・籠池氏は当時の様子を振り返る。「あの頃は、日本会議の先生方を幼稚園にお呼びして、ご講演賜ることが日本のため、お国のためやと思ってたからね。なんぼ金を出しても惜しくなかった。お忙しいスケジュールを縫って大阪まで来て頂いた先生方には、今でも感謝してるよ」

 そんな籠池氏の感謝とは裏腹に、当の「先生方」は、自分が塚本幼稚園で講演したことをひた隠しにしようとしている。

 例えば、「親学」なる教育メソッドの提唱者・高橋史朗氏の事例などその典型だ。高橋氏が塚本幼稚園で講演を行ったのは2008年5月。自身の教育観や「親学」について語った後、高橋氏は「この園の実践が大阪全体にまた日本全体に広がってゆくように私は願っております」という一言でこの講演を締めくくっている。さらにこの講演が、2年後の10年の卒園記念書籍として出版されるに際し、卒園生に贈る言葉として「卒園後も生涯学習をして森友学園の精神を更に深く学び身につけて日本の再生のために貢献していただくことを強く期待しております」とのコメントを改めて寄せてもいる。

 ところがどうだろう。

 高橋氏が会長を務める「一般財団法人親学推進協会」の発行するメールマガジンの今年3月16日号で、高橋氏は、森友学園の教育方針について毎日新聞から取材された内容を公表し、「森友学園の教育方針と親学推進協会が推進している『親学』との関係が不明のため、コメントできません」と、なんともつっけんどんな対応を見せたのだ。

 あそこまで熱心に「森友学園の精神」を称賛していた過去など奇麗さっぱり忘れてしまったのだろうか?「別にかまへんねん。高橋先生には高橋先生のご事情がおありやねんやろう。そんなんいちいち指摘したら先生に申し訳ない」と、ここまで悪し様に扱われているのにもかかわらず籠池氏は高橋氏を擁護してみせた。

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