「たとえCS放送やネットの番組でも、出る場があるとアイドルやってるって感じられる。それにライブに出てるとつらいこととか忘れられる。続けようと思ったらバイトをやりながらでも、ずっとだらだらできるんです。でもどっかでケリをつけていかないと、しっかりとした固定給をもらう状況にはならない。お金に悩んでいるメンバーもいます。将来の展望を考えて辞めていく人もいるけど、それでも私が続けているのは、ライブが楽しいとか、形に残るとかいうことがあるからかな」

 一方、アイドルを応援する、いわゆるオタクの側にもさまざまな思いがある。ベイビーレイズJAPANのファンの吉沢隆文さん(33)は接触イベントが楽しみだという。

「メンバーに直接『ありがとう』って言える機会はほかにないですから。初めてアイドルと接触したのはももクロのメンバーとだったんですが、メジャーグループだと接触イベントなんてほとんどないから緊張してなにも伝えられなかった。その後、友達に誘われてベイビーレイズのライブと握手会に行ったんです。そのときはももクロのときよりずっとしゃべれたし、2回目に行ったときにメンバーが僕のことを覚えていてくれたんです。それからですね、ハマったのは」

 CDを買うなどお金もそれなりに使ってきた。

「CDやグッズをたくさん買うことを“積む”っていうんですけれど、僕なんか全然ですよ。1回に40~50枚くらいが精いっぱい。CD1枚1千円として4万~5万円です。積む人はビックリするくらい積みますからね。“とりせん”という言葉があって“とりあえず1千枚”っていう意味。3桁(100枚以上)積む人は普通にいます。僕は自分の生活ギリギリの範囲でお金を使いますが、知り合いでアイドルに熱を上げすぎて生活がヤバくなって離婚した人もいます」

 ファンには女性もいる。新宿・歌舞伎町のアイドルファンが集まるバー「酔っこら処」の店長で、自身も熱心なアイドルファンだという堀祐子さん(30)は次のように語る。

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