一方の都市圏の大学も制度を拡充させている。立教大は昨年、地方の高校出身者対象だった奨学金に加え、1都3県の受験生対象の制度も設けた。同大は「1都3県の学生対象の制度はまだ少ない」という。

 学力に自信がある受験生には、入試選抜型の給付奨学金もある。神奈川大の給費生奨学金制度だと、文系が年100万円を、理工系が年130万円をもらえる。自宅外通学者は、さらに年70万円が上乗せされる。4年間で最大800万円。昨年は約7千人が受験し、約300人が合格した。

 給費生の永田滉さん(22)は「費用の心配をせずに、アメリカの大学に語学研修に行けて、ありがたかった」と話す。同大は「3年前と比べ、給費生の入学者が3~4倍に増えた。親に学費負担をかけるのが心苦しい受験生が増えているようだ」という。

 近畿大は、複数の入試方式で成績優秀者対象の特待生制度を設けている。17年度入試では、13学部で計1千人以上の枠が設けられた。大半の学部で授業料が4年間全額免除され、産業理工学部の一部と薬学部は半額免除となっている。

 私立大だけでなく、国立大も給付型の奨学金を広げている。

 京都大は今年、企業からの寄付による奨学金を新設した。同大OBの企業経営者らに呼びかけて寄付を募り、まずは7社の参加が決まった。3月から学部生や大学院生を対象に21人を募集。学部生は30万円の奨学金が給付される。

 ダイドードリンコは社長が京大OBで、社会貢献の一つとして参加した。卒業後に入社義務などはない。京大は協力企業を広げ、規模を拡大したい考えだ。

 新潟大も給付型の制度を10年から設けている。入学前に40万円が給付され、希望者は授業料が軽減される。16年度までに約600人が申請し、約200人が受給したという。

 企業や団体も自前の奨学金制度を充実させている。

 吉野家は来年度から、店舗での大学生アルバイトらを対象に奨学金制度を導入する予定だ。入学金や学費を貸与し、卒業後に同社で4年以上働くと返済が全額免除される。日本フードサービス協会に加盟する同業他社に入社しても、半額免除になるという。

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