「震源地は今年100周年の医学部」との見方もある。

 東京・信濃町に約300億円かけて新病院棟の建設が進んでおり、主導したのは元病院長の戸山芳昭名誉教授とされる。「次の塾長は戸山さん」と清家塾長は周囲に漏らしていたという。

 医学部関係者は言う。

「2年ほど前、評議員会議長だった西室さんから『次の塾長は戸山と聞くが、どんな人物か』と尋ねられた」

 東芝の西室泰三氏。慶應でも影の実力者だった。

 常任理事の戸山氏は、次期塾長の本命だった。ところが、医学部内が割れた。基礎研究を重視する岡野栄之医学部長が名乗りを上げ、票を食い合った。推薦委員会の1回目の投票で、戸山氏は上位5人に入らずに脱落。本命は長谷山氏に差し替えられた、という見立てがもっぱらだ。

 慶應には国庫から多額の予算が下り、医学部に手厚い。基礎研究部門と、病院など臨床部門とのつばぜり合いが塾長選にまで投影した。カネや権限に縁のない教職員票が“普通の人”の細田氏に集まった、とも言われる。専門は環境経済学、日本聖公会に所属するクリスチャン。活動の場はロータリークラブで、学内政治に興味はなく、権威になびかず、言うべきことは言う。そこが嫌われたのか。

 経済学部の金子勝教授は

「ありえないことだが、もし私が最高得票で拒否されたのならばまだわかる。細田さんがダメ、という慶應はかなり重症だ」と言う。

 新塾長就任は5月28日。慶應はまだ揺れそうだ。

週刊朝日  2017年5月19日号

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