今年1月にできた銅像。サザエさんと長谷川町子が立ち話しているようだ(写真提供=西南学院)
今年1月にできた銅像。サザエさんと長谷川町子が立ち話しているようだ(写真提供=西南学院)

 国民的漫画「サザエさん」の魅力は、連載開始から70年を経ても色あせない。全国巡回中の「よりぬき長谷川町子展」(次回は名古屋市で4月29日から)も大好評。時代を超えて幅広い世代の心をつかんでいる。原作はアニメとは一味違う。その豆知識を紹介しよう。

◆磯野家のルーツは福岡

 4コマ漫画「サザエさん」が生まれたのは、71年前の1946年4月。福岡の地方紙「夕刊フクニチ」で連載が始まった。

 アニメの影響もあり、「磯野家」といえば東京・世田谷のイメージが強いが、作者の長谷川町子が着想を得たのは疎開先の福岡市。体調がすぐれなかった妹が回復するにつれ、町子は一緒に近くの「百道(ももち)浜」を散歩した。それがきっかけで、登場人物の名前が海産物になったという。

 当時は、現在の西南学院大学のキャンパスの向かいに住んでいたそうだ。西南学院は今年1月、町子とサザエさんをモチーフにした銅像を制作し、市に寄贈。漫画のキャラクターの銅像はほかにもあるが、町子の銅像は全国でここだけだ。

◆独身時代のサザエさんは雑誌記者!?

 原作では、サザエさんの独身時代も描かれている。出版社「ハロー社」に勤め、雑誌の記事を書くために警察官の体験をするといった内容もあった。

 作品と重なるのは、町子もたびたび朝日新聞に記事を書いていたことだ。51年の夕刊には「サザエさんの名人戦見学」というイラスト付きの記事が載った。サザエさんの目を通した将棋のリポートだ。町子にとってサザエさんは、最も思い入れの深いキャラクターというのがわかる。

 サザエさんが結婚してからも、アニメとは異なり、最初は3世代同居ではなかった。フグ田家は借家だったので、大家がその家を売りに出したのをきっかけに、同居が始まっている。

◆ペットはタマではなくマイク?

 動物好きだった町子。原作にはイヌやネコがよく出てくる。実は、おなじみの飼いネコ「タマ」は、アニメのキャラクター。原作ではペットの設定は定まってなく、リスの「マイク」を飼っているときもあった。

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