“一生食べられない”はかわいそう 患者家族を救ったのは歯科医だった! (2/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

“一生食べられない”はかわいそう 患者家族を救ったのは歯科医だった!

このエントリーをはてなブックマークに追加
口から食べられるようになったことで回復が加速し、今では元のように仕事をこなす畠山さん(上)。専門家の支援によって食べる力を取り戻した成功例の一つだ

口から食べられるようになったことで回復が加速し、今では元のように仕事をこなす畠山さん(上)。専門家の支援によって食べる力を取り戻した成功例の一つだ

 わらをもすがる思いで、日本大学歯学部の戸原玄歯科医師(当時、現在は東京医科歯科大学准教授)を訪ねた。戸原氏は、東京医科歯科大学を卒業後、米国留学で嚥下障害や口腔リハビリを学び、帰国後も一貫して「食べるサポート」を続けてきた。つまり、日本では数少ない「食べさせる専門家」なのだ。

 さっそく自宅で内視鏡を鼻から喉に入れて、のみ込みができるかどうか調べる「嚥下内視鏡検査」を実施。別ののみ込みの検査(嚥下造影検査)は以前も主治医から受けていた。造影検査でも内視鏡検査でも、基本的に検査の結果が変わることはない。だが、戸原氏は検査後、由美子さんらにこんな提案をした。

「訓練をしながら誤嚥せずに食べられる方法を考えていきましょう」

 以前の検査のときから、畠山さんの状態が劇的に改善したわけではないが、戸原氏によると食べる機能はまだ残っているという。

「まだ実際に食べる練習を始めることはできませんが、声帯という声を出すときに閉じる部分の動きが悪いので、まずはそこを閉じる練習から始めましょう。うまく閉じることができるようになってくると、のみ込むときに誤嚥をしづらくなってきます」

 戸原氏のこの言葉に、由美子さんは驚いた。

「戸原先生は、誤嚥があったから食べてはいけないのではなく、どうしたら誤嚥をしないように食べることができるのか、方法を教えてくれたんです。そんなことができるとは初めて知りました」(由美子さん)

 戸原氏は、多くの医師とはまったく違う視点から検査結果を見ていたのだ。多くの医師は、誤嚥性肺炎という重篤な病気にならないことを第一に考え、危険因子を見つけ、排除しようとする。だから、食べることを禁じる。一方、戸原氏は、食べるためにはどこが弱く、それを補うにはどうすればいいのかという視点から患者の状態を見ていた。

「僕の仕事は、のみ込みがうまくできているかを調べることでなく、たとえ誤嚥することがあっても、どうしたらそれを回避して食べられるようにできるかを考えること。誤嚥があるから食べさせないのではなく、どうしたら食べられるかを見つけることなんです」


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい