カトリーヌあやこ ドラマ「火花」で又吉を称賛、同時に朝ドラに苦言 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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カトリーヌあやこ ドラマ「火花」で又吉を称賛、同時に朝ドラに苦言

連載「てれてれテレビ」

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(c)カトリーヌあやこ

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 漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏は、「火花」(NHK総合 日曜23:00~)を絶賛する。

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 又吉直樹の芥川賞受賞作品「火花」のドラマ化。動画配信サービスのNetflixなどが制作し、NHKが地上波で放送している。

 若手芸人「スパークス」の徳永(林遣都)と、先輩芸人「あほんだら」の神谷(波岡一喜)の交流を描いた物語。なんせ林の又吉寄せがすごい。その喋り方、猫背気味な姿勢、疎外感をにじませた目線。特にマイクを間に、相方と対峙した時の影の薄さがとっても又吉。かたや、数々のチンピラ役が印象的な波岡。背中に破滅感がにじんでいて、危うい芸人役もよく似合う。

 俳優が演じる芸人ものは、漫才場面になると途端にガックリくるものだけど、今回ツッコミを演じているのはどちらもプロ(「スパークス」の山下は「井下好井」の好井まさお、「あほんだら」の大林は「とろサーモン」の村田秀亮)。ツッコミがプロというだけで、まー安心。素人漫才に赤面しちゃうのは、ツッコミの技術のせいかと納得する。

 ちなみに作中に出てくる「地獄、地獄……」や「太鼓の太鼓のお兄さん」などの反復されるエキセントリックな言葉は、やっぱり音で聞くと面白い。声で発することを前提とした、漫才ネタを書く又吉だからこその言葉選びか。

 淡々と描かれる売れない芸人の日々。貧しい生活、不安とプライド。夢、挫折、そして青年期の終わり。芸人の生き様はそれだけで文学だ。小さい頃、ブラウン管の向こうの夢路いとし、喜味こいし師匠の漫才に大笑いした徳永。

 振り向くとお茶の間の家族、みんなの笑顔がはじけている。花火のようにキラキラとワクワクと。たまらず雨の路地に飛び出して、やはり幼い相方とアパートの軒下で出会う。もじもじと一歩ずつ向かい合う二人。いとしこいし師匠のように、自然と漫才が始まる。

「あのー食べ物って好き嫌いもありますけどね」

「そらぁ好き嫌いあるわな」

 それが夢の生まれた場所。その光がまぶしいほど、手放した時の闇は濃い。そこで思い出すのは、同じ林が出ていた朝ドラ「べっぴんさん」。プロのドラマーを目指していた二郎(林)、さらっとあきらめてジャズ喫茶のマスターにジョブチェンジしてたじゃないですか。一番大事なとこ省略するから、すべてが「あらすじ&回想」みたいなドラマになるんだよ!と、違う番組に腹立ててどうする。

週刊朝日  2017年4月7日号


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カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など。

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