さらに、最近何かと話題の昭恵氏がここでも登場する。15年9月、昭恵氏は加計学園が運営する認可外保育施設「御影インターナショナルこども園」を訪問し、保護者らを前に名誉園長就任を受けた講演を行っている。どことなく、森友学園問題を連想させるような親密ぶりだ。だが、今治市に新設する大学の認可をめぐる流れを見ると、さまざまな疑問が湧き上がる。

 そもそも大学の獣医学部には全国で定員枠があり、学部新設のハードルは高い。

「07年から加計学園の知見もお借りし、規制を解くため国に構造改革特区の設置を提案しましたが、日本獣医師会の反対などもあり、膠着状態でした」(今治市)

 長年の膠着状態が急変するのは第2次安倍政権の誕生以後だ。16年11月、安倍首相が議長を務める国家戦略特区諮問会議が「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」獣医学部の新設を認めるとの決定を行い、翌17年1月には岡山理科大獣医学部の今治市への誘致がトントン拍子で決定したのだ。

 新設に反対してきた日本獣医師会の境政人専務理事はこう不満を口にする。

「今回の国家戦略特区会議やその下の分科会にも私たちは一切呼ばれず、直接意見を述べる機会がなかった。パブリックコメントの募集に対し、反対意見を出しただけです。非常に短い期間で決められてしまった。初めから結論ありきのようで、大変残念でした」

 一方、同会議の今治市分科会には前愛媛県知事の加戸守行氏が出席。同氏は「日本会議」関連の行事に出席し、安倍首相が本部長の「教育再生実行会議」の有識者メンバーを八木秀次氏、曽野綾子氏らとともに務めたこともある、首相の「右派人脈」のお仲間である。

 政府が特区で獣医学部を設置する事業者を募集したのは17年1月4~11日のたった8日間で、応募したのは加計学園のみ。まるで加計学園のための制度改正だったようにも見える。

 ちなみに、加計理事長は政府の決定と時期が近い16年10月2日と12月24日に、安倍夫妻らと夕食を共にしている。今年1月の国家戦略特区諮問会議では首相自らが誇らしげにこう語った。

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