天下りあっせんが明らかになった文科省 (c)朝日新聞社
天下りあっせんが明らかになった文科省 (c)朝日新聞社

 早稲田大学の文部科学省天下りあっせん問題を受け、政府は全省庁を対象に調査するよう指示。文科省も、省内に調査チームを発足させた。

 文科省の天下りは早大に限ったことなのだろうか。内閣官房の公表資料から文科省の過去の再就職先を見てみると、直近の5年で約70人、3年で約50人が退職後、大学を運営する学校法人の職に就いている。違法なあっせんではないにしろ、両者の関係の深さを物語っている。

 転機は、1991年にさかのぼる。大学設置基準の大綱化で、大学や学部の新設、定員増の認可が緩和された。文科省のあっせんは受けずに立命館大副総長などを務めた、元審議官の本間政雄・大学マネジメント研究会会長が説明する。

「90年代初頭までは、大都市での大学の新増設は認められなかった。人口集中を避けるためです。しかし、新自由主義を背景に、公教育の場に市場原理が持ち込まれ、規制緩和は、92年に第2次ベビーブーム世代のピークが18歳になるのに合わせて行われた。この四半世紀のうちに私大は300以上増え、国立大も当時の倍の86校になりました」

次のページ