「夏の参院選は勝利したとはいえ、比例区で救われただけで、実際は重点的に活動した1人区で11も負けている。次期衆院選自民党は必ず負ける。私の見立てでは30議席前後は減る。現有議席から1割以上減らすと、首相の責任論も出るので二階俊博幹事長が今、懸命に勝敗ラインを下げている」

 党内では特に、2012年と14年の選挙で当選した1、2回生、いわゆる「安倍チルドレン」の地元での活動が低調なことに危機感が広がっているという。10月には二階幹事長らを中心に党内で「選挙塾」を開講。下村博文幹事長代行が「86の小選挙区で勝てない可能性もある」との試算を示すなど、必死に発破をかけているが、若手議員の中には年末年始に海外旅行の申請を出している者もいて、先輩を呆れさせているという。野党が勢いを増してくれば、所属議員の4割を占める「チルドレン」の議席が真っ先に失われるのだ。

 しかし、野党の側にも「悲観論」は蔓延している。議席増の最低条件である「参院選並みの野党共闘」が実現するかどうかすら、現状では不透明なのだ。民進党議員がこう語る。

「野党共闘に消極的な野田幹事長の存在がネック。新潟県知事選でも蓮舫氏は米山隆一氏の応援に入りたがっていたのに、野田氏が『連合が怒るから』と止めていた。自由党の小沢一郎代表との関係も悪く、動きが悪い。このまま選挙になったら最悪ですよ」

 参院選ではほとんどの1人区で公認候補を取り下げた共産党も、衆院選で同じ動きをするとは限らない。共産党幹部がこう語る。

「野党共闘に古参党員からのクレームが増えている。党のアイデンティティーを失ってまで候補者を降ろす必要はないという意見が強い。ただ、党員減少と赤旗の部数減で1人あたり300万円の供託金の負担が厳しくなり、候補者数を抑えたいのも事実。調整がつくところだけ共闘し、80人程度に絞ることになる」

 前出の角谷氏は野党共闘について、参院選でも鍵となった「市民」の役割に注目する。

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