北原みのり「『性』と『国家』の狭間で」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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北原みのり「『性』と『国家』の狭間で」

連載「ニッポン スッポンポンNEO」

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政治が剥き出しの暴力で暴走し、女性が犠牲になる現代。「性」と「国家」の狭間で北原みのり氏が考えたこととは? (※写真はイメージ)

政治が剥き出しの暴力で暴走し、女性が犠牲になる現代。「性」と「国家」の狭間で北原みのり氏が考えたこととは? (※写真はイメージ)

 作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。北原氏は、逮捕、そして作家の佐藤優氏との出会いを振り返る。

*  *  *
 2年前、わいせつ物陳列という容疑で逮捕されたことは、もちろんキツい体験だったのだけど、友人にいかに恵まれているかを、改めて噛みしめる機会になった。知的で優しい女友達に人生を救ってもらったようなものだ。そしてまた、新しい友情にも巡り合えた。

 私は裁判で闘う道を選ばなかった。女性器表現がわいせつか否かを司法で争うことに、意義を感じなかった。さらに、性差別表現に抵抗してきた者として、差別も暴力も女性器も等しく「表現の自由の権利」であると主張する闘いに、巻き込まれるわけにはいかなかった。なにより権力が個人に暴力を易々と振るう現実に、私は圧倒されていた。政治/社会の暴力に、頬を叩かれ気付かされ、暗闇に落ちてしまったように感じていた。

 そういう中、作家の佐藤優さんが「北原さんの選択は良かった」とアエラ編集長(当時)の浜田敬子さんに話していたことを聞いた。国家権力が設定した闘いから降りるのも闘いなのだ、と。それまで面識はなかったけれど、佐藤優さんに会わなければ、と直感した。外務省に勤務していた2002年に逮捕され、512日間拘束された佐藤優さんは、私が知らない国家の顔を知っている。私は国家権力を丁寧に知る必要があった。自分が立っている場所を正確に知る必要があった。

 縁とは不思議なもので、佐藤さんが拘置所で記した日記『獄中記』には「外に出たらフェミニズムを学びたい」ということが書いてあった。


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