「歌舞伎のお客さんは、初めての演目を観るとき、“面白くない”と判断したら、始まって5分で席を立って帰っちゃうんです。歌舞伎座のさよなら公演で、実際にお年を召したお客さんたちがゾロゾロ席を立って出ていくのを目にしたときはショックでした。(中村)勘三郎さんは、『俺がいいと思ったんだから、最高なんだよ』って言ってくださったんですけど。歌舞伎の料金には、“帰る自由”も含まれているんだな、と」

 多忙な宮藤さんにとって一番のリフレッシュ法は、“家族サービス”だ。「僕が働きっぱなしで家に帰らないと関係がギスギスしちゃうので、ときどきは家族の機嫌を取る時間がほしい(苦笑)。子供に『お父さん、頑張って』って言ってもらえると、頑張ろうって気になれるし」

週刊朝日 2016年11月18日号