原発ゼロに向けて動き始めた民進党。しかし、作家の室井佑月氏は呆れる。

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 10月21日付の朝日新聞に「民進『原発ゼロ』に波紋」という記事が載っていた。

 なんでも、民進党の蓮舫代表が、20日、福島第一原発を視察して、集まった記者団にこう語ったみたいだ。

「原子力政策に関して複数の選挙で明確な結果が出ている。再稼働ありきでは絶対に国民の理解は得られない」と。

 そして、

〈民進党が、2030年代に原発をゼロにするための「現実的な工程表を作る」と表明した〉

 という。記事に書かれている通り、

〈原発へのスタンスが影を落として野党共闘が崩れた新潟県知事選の「反省」を受け、踏み込んだ〉

 のだろうし、そのことでまた党内がゴタゴタしているみたい。

 記事には電力総連出身の小林正夫参院議員の「承知していない」というコメントや、電力総連を傘下に置く連合の神津里季生会長の「再稼働できるものはすべきだ」という発言が載っていた。

 この人たち、バカなのかな? こういうゴタゴタは代表選でやっとけよ! 自民贔屓(びいき)のマスコミに、おいしい餌を与えてどうする?

 蓮舫さんいわく、原発について国民がどう思っているか、ようやく今わかったらしい。記事の中に出てくる党関係者という人は、「(原発政策は)のどから手が出るほど欲しい対立軸だ」とかいっちゃってやんの。

 うちら国民からしたら、「はあ? なんだよ、今頃。すっとぼけるのもいいかげんにしろ」って感じだ。

 自民と対抗する最大野党だからとたくさん我慢もしてきたが、もう我慢せず叫んでもいいよね。

 バーカ! バーカ!

 だいたい前出の蓮舫さんの発言を、「(今頃であっても)よくご決断されました!」と褒める人がいるのかな?

 新潟県知事選で民進が推薦しなかった米山隆一さんが勝ちそうになると、ギリギリになって選挙区に入った卑怯さと重なってしまうのだ。

 
 江田憲司代表代行がすぐに新新潟県知事の米山さんと面会したのも、安倍総理が選挙前、原発の再稼働に慎重な泉田裕彦前知事を官邸に呼んだ卑怯なパフォーマンスと重なってしまう。

 民進党の野田幹事長なんか、20日、わざわざ新潟市を訪問して、「連合新潟」の会長と会ってるしな。

 おどれら、なに考えとるんじゃ。「これで大丈夫でしょ、応援してね」などと考えているなら、国民をナメすぎだと思う。

「強行採決すりゃ、みなオッケー」。そう考えている自民党の傲慢さと、どう違うっていうのか?

 もうバカは前に出てくるな! 次の衆議院選挙で主導権を握ろうとするのはよせ! 今回の新潟知事選と都知事選で、わかったろ。

 え? まだわからない? だとしたら、ほんとうに残念なバカですよ。

 個人単位では良い議員がいっぱいいるから、惜しい。

週刊朝日 2016年11月11日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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