田原総一朗「『米国嫌い』のドゥテルテを安倍首相は説得できたのか」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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田原総一朗「『米国嫌い』のドゥテルテを安倍首相は説得できたのか」

連載「ギロン堂」

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ドゥテルテ大統領との会談において、安倍首相には2つの役割があったと田原氏 (※写真はイメージ)

ドゥテルテ大統領との会談において、安倍首相には2つの役割があったと田原氏 (※写真はイメージ)

 米国との決別を宣言したフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領。大統領就任後、初来日となったドゥテルテ氏だが、安倍首相は2つの役割があったとジャーナリストの田原総一朗氏は指摘する。

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 フィリピンの大統領ロドリゴ・ドゥテルテ氏とは、いったいどういう人物なのか。暴言を平気で口にする粗野な外交音痴なのか。それとも、意外にもしたたかな政治家なのか。

 訪中して習近平国家主席と会談したドゥテルテ氏は、「軍事的にも経済的にも米国と決別する」と言い切った。フィリピンは米国の同盟国であり、当然、経済的にも軍事的にも深い関係がある。現にフィリピンには米軍が駐留して共同で軍事演習を行っているのである。

 この暴言に米国は強い不満を抱いた。というよりも困惑した。ドゥテルテ氏の本意を測りかねたのだ。

 ドゥテルテ氏とはどういうキャリアの人物なのか。彼は司法試験に合格して検事を務め、その後、政界に身を転じミンダナオ島のダバオ市長を22年間務めた。ダバオ市長は天職と思っていたようで、ラモス、エストラダ、アロヨ、アキノと4人の大統領から内務相の座を打診されたが、いずれも断っている。そして今年5月の大統領選挙で次点の候補に600万票以上の差をつけ大勝した。

 大統領としての支持率は86%と圧倒的だ。もっとも、ドゥテルテ氏は麻薬犯罪に対して非情ともいえる強硬策を打ち、大統領就任から4カ月間で3500人もの麻薬犯罪容疑者を裁判にかけず殺害している。このことは米国などで批判された。今年9月にはオバマ米大統領と会談することになっていたが、オバマが「人権的に問題だ」と懸念を表明すると「何様のつもりだ、このクソ野郎」と罵声を浴びせ、会談は中止となっている。

 ドゥテルテ氏は習主席との対談で、総額2兆5千億円もの支援を得ることになった。その代わり、南シナ海での領有権問題は一言も口にしなかった。前大統領がこの件を常設仲裁裁判所に訴え「中国の領有権は認めない」とする判決を得ていたのだが、ドゥテルテ氏は莫大な支援と引き換えに、これを棚上げにしてしまったのだろうか。もっとも、ドゥテルテ氏は会談に際し「いずれ協議する時が来る。仲裁裁判所の決定は明確な文書になっている。決定が消えるわけではない」とも述べている。


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