──仲卸業者の中にも移転推進派がいるようですが。

Y:よく築地市場協会の伊藤裕康会長や、水産仲卸業者でつくる東京魚市場卸協同組合の伊藤淳一理事長らがテレビに出ますよね。彼ら幹部が推進派だから、業界内ではそちら側の声が大きいと思われちゃうんですが、人数の上でのバランスは全然違う。本気で推進派の業者なんて、私はほとんど知らない。

X:昨年、仲卸業者を対象に行われたアンケートでも、過半数が移転延期という意見でした。

村木:私のところも従業員を抱えていて、11月に移転決定と言われたら準備もしなくちゃならない。それをもって推進派と言われてしまうこともあった。

Y:本音は移転反対の人がほとんどですよ。皆、これまでものすごく頑張って反対してきたんですが、東京都にはね返され、政治家にも頼んだけど駄目になった。舛添要一前知事も何もしてくれない。何を言ってもしょうがないという感覚だったんです。小池知事がアクションを起こしてくれて、ようやく元気が出てきた。

関戸:小池さんには期待していますよ。知事就任後、豊洲の問題について直接説明する機会がありましたが、僕たちの意見を聞いてくれる姿勢を感じました。

村木:都庁の役人は話を聞いてくれないけれど、トップは聞いてくれる。知事がやりやすい環境をつくらないとね。世論調査では、70%の人が五輪よりも食の安全が大事だと答えた。都民はバカじゃないよ。

X:やっぱり小池新党をつくって、与党をこちら側につけたい。移転に絡んで悪さをしていた人たちを引きずり出さないと。

関戸:魚の目利きと同じで、僕たちはその人の目を見れば誰が悪いかわかりますからね(笑)。みんな、これからが正念場です。

週刊朝日 2016年10月7日号