Y:水産市場の上に青果市場をのっけちゃえばいい。豊洲のように水産市場自体を立体化されると動線がきついが、水産と青果のそれぞれのフロアが平らならば、立体化で問題ない。仲卸業者も昔より減っていて、多少狭くても大丈夫です。

X:実際、過去に都議会民主党(当時)の議員がそういう代替案を提唱していた。築地再整備がA案、晴海がB案と。現実味はあります。

──とはいえ、完成した豊洲市場には、約2700億円と巨額の建設費がかかっています。

関戸:一部の報道にあるように本当に不正や談合が行われていたならば、その人たちに責任をとってもらうべきではないですか。

村木:風評というのは消えないですからね。食品関係は難しい。

X:物流業界には豊洲を欲しがっている企業もあると聞きますが。

Y:でも、倉庫で使うにしても耐荷重や耐震性を疑問視する報道もされている。公共施設がいいのでは。市場博物館とか(笑)。

──ところで、皆さんから見て都庁の役人はどんな存在なんですか。

関戸:前例踏襲をものすごく大事にする。担当部署の3代前までの先輩が決めたことは覆さないという不文律がある。あくまで築地から豊洲に行かせるという大命題があって、実際に市場を使う我々の意見は全然聞かないから、こうなってしまった。

Y:彼らは「市場のプロ」であるべきなのに、実際は現場のことを全然知らないですよ。幹部も職員も数年の人事異動で変わっていくから、状況把握ができていない。市場内に移転についての都の相談室があるんですが、こちらが質問してもメモするだけで、「とりあえずわかりました」という感じで後日、回答もしない。あそこに行ってもしょうがない、というのが周囲の皆の意見です。

X:市場一筋のプロパーの職員というのは、私たちの交渉相手を見る限りほとんどいないですね。

村木:だからプロジェクトに一貫性がない。10年以上前、僕ら仲卸業者が一軒ずつ都の事務所に呼ばれて、移転についての意向調査が行われた。その時の都幹部の説明は「一店舗が広くなって仕事がしやすくなります」「交通アクセスはまだ時間がありますから、全部整えます」と。ところが実際は店舗は狭くなり、アクセスも不十分なまま。その後の説明会で「お前らウソつきじゃないか」と言ったら、職員は黙っちゃった。

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