X:今回も、都議会公明党が地下空間の水を独自に調べてもらったら、都の検査では出なかった有害物質のシアンが検出された。もう都を信用できないですよ。

村木:本当に隠蔽(いんぺい)体質ですよね。都庁の職員が言うことは、公務員だからと信用してきたけど、ウソをつくとわかってしまった。

Y:これまで2年間行ってきた土壌のモニタリング検査も、どこまでデータが本当だったのかという疑問が湧いてきます。行政から一方的に説明されてきたものの信頼性がなくなって、今後、都との対話をどうやっていったらいいのか。

──豊洲はトラック中心の大規模物流に対応した最新設備だという話も聞きますが、実際はどうなんですか。

村木:本当に大型物流によいのか疑問です。築地は市場の外を道路で囲まれ、出入り口もたくさんあるのに、豊洲は市場内が幹線道路で分断され、出入り口も少ない。設計者はデータ不足というか研究不足というか、ちょっとダメなんじゃないかと思ってしまう。

Y:当初のコンセプトとしては「広くなる、安全になる、物流もよくなる」だったんでしょうが、あの土地に合わせてやってみたら、言うほど物流もうまくいかなかった、ということでは。事前にターレーを入れて大規模な物流実験をやるべきなのに、まだ中も全部見せてくれないですから。

──現在のところ移転時期の見通しは立っていません。この問題の「落としどころ」はどう考えますか?

関戸:私はこれまで移転に「慎重派」という立場でした。ただここまで汚染の話がクローズアップされて、だいぶ環境が変わってきた。市場の使い勝手が悪いという問題は我々の段階の話ですが、土壌汚染となると安全にかかわる話で、お客さんが黙っていない。

Y:豊洲には行くべきではないと思います。ある仲卸業者は、顧客の弁当屋さんから「豊洲に行くならお宅から仕入れないよ」と言われたとか。移転を決めても、汚染問題による風評被害はもう避けられない。市場中が団結して、大反対運動をすべきです。

X:私も、風評を考えたらもう豊洲は無理だと思います。築地をその場で再整備するか、過去に候補地に挙がっていた晴海埠頭(ふとう)に移すという手もあるでしょう。晴海は約30ヘクタールで豊洲の40ヘクタールよりも狭く、周囲を埋め立てて広くするために巨額の予算がかかることがネックだったと聞いていますが、今の築地は約23ヘクタール。立体化などの工夫をすれば、埋め立てをしなくても十分使えますよ。

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