豊洲新市場の地下には水がたまっていた (c)朝日新聞社
豊洲新市場の地下には水がたまっていた (c)朝日新聞社

 小池百合子都知事が延期を決めた築地市場移転問題が、いよいよ混迷を深めている。豊洲新市場の建物下に専門家会議が提言した「盛り土」がされておらず、水がたまった謎の「地下空間」が存在することが発覚。新市場の安全性に、大きな疑問符がつく展開となってしまったからだ。

 原因究明と責任者探しが続く中、市場の主役である水産仲卸業者たちは蚊帳の外に置かれている。彼らの目にこのドタバタ劇はどう映るのか。そして、不祥事を生んだ本当の原因とは──。本誌は築地で働く現役の水産仲卸業者4人を集め、緊急座談会を行った。

(座談会参加者 関戸富雄=加工水産物などを扱う「関富」社長。都知事選中、小池百合子氏 に移転延期の要望書を提出/村木智義=鮮魚などを扱う「ムラキ」取締役/X=鮮魚などを 扱う仲卸業者。長年、移転反対運動に携わる/Y=加工水産物などを扱う仲卸業)

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──「盛り土」がなされていなかった問題を、皆さんはどう思われましたか?

関戸:東京都は築地を豊洲に移すためなら、何でもする、どんなウソでもつくということは体験していたんですが、都という組織がここまで腐っているとは驚きました。

X:問題が発覚するついこの間まで私たちは、盛り土がされていると思っていたんですよ。

Y:都はこれまで「安全性に問題ない」「日本でも有数な高度の対策をとっている」という説明を繰り返していた。移転推進派の仲卸業者は「都が大丈夫って言っているじゃないか」という意見で、内心おかしいと思っている人がいても、技術的なことなんて我々にはわかりませんでした。

村木:この問題が出る前から俺は知ってたよ。建物の下にトンネルみたいなのがあって、そこに水がたまってて臭いっていうのは。噂話で。ただ、都の職員に質問しても「設計図どおりです。ホームページ見てください。安全です」と冷たい対応で、確認しようがなかった。半分あきらめムードになっていた。もっとひどい噂だってあるよ。

関戸:地下の空洞については私も噂を聞いていました。あそこは地下から出てきて気化したベンゼンをためて、排気ダクトで抜くシステムになっている。そのためにつくった空間だと。都庁の職員は真相を知っているはずですよ。

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