放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、「骨盤おしりリフレ」について。

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 メダリスト帰国会見で、「スマスマ収録に参加できたこと」を喜んだ柔道のベイカー茉秋(ましゅう)選手。「SMAP×SMAP」(フジテレビ系)の「ビストロSMAP」に単独で“来店”したことがよほど嬉しかったのだろう。

 そんなベイカー茉秋選手や、「イケメン」と話題の“ハネタク”こと、カヌースラロームカナディアンシングルの羽根田卓也選手を見るにつけ、マツコ・デラックスさんの偉大さに改めて驚かされる。

 リオ五輪の前はほぼ無名だった両選手のことをマツコさんは早々に公の場で口にしているのだ。

 あれはマツコさんがずっと前から熱視線を送っていたサッカー日本代表の長友佑都選手と平愛梨との交際が明るみに出た直後。イベントでリポーターから「次なる狙いは?」と聞かれた際、マツコさんは「ベイカー茉秋」を挙げ、「なんで柔道?」「なんでピアノを?」と興味津々だった。

 羽根田卓也選手については、「マツコ&有吉の怒り新党」(テレビ朝日系)での視聴者からの投稿がきっかけとはいえ、これまた早々に注目していたのである。

 人物だけではない。マツコさんが番組で紹介したモノがヒット商品になることを業界では「マツコ売れ」と呼ぶそうで、ネットでそれらをまとめて紹介するサイトも複数ある。

 
 なかでも、今年6月「マツコの知らない世界」(TBS系)の「ほぐし家電」特集で取り上げられたパナソニックの「骨盤おしりリフレ」はその代表的存在だとか。

 12個のエアーバッグが骨盤まわりをギュッとしめつけ、プロに学んだ“ほぐし技”でだるい下半身をスッキリできるマッサージャー。

「骨盤まわりが気になる」「腰がツライ」「太ももがいつも冷えて、だるい」などは女性ならピンとくる症状だろう。

 さらに「座った姿勢で長時間」「よく脚を組む」「いつも同じ側の肩にバッグをかける」は、働く女性の多くが思い当たること。

 文筆家であり、「夜の巷を徘徊する」(テレビ朝日系)以外の7本のレギュラー番組では、まさに長時間座りっぱなしのマツコさんが「骨盤おしりリフレ」に食いつくのは無理もない。

 手足なら自分でマッサージできるが、骨盤をほぐすのは難しく、マッサージ師や整体師のお世話になるのが当たり前だった。が、これなら自宅で寝転んでも立ったままでもOKだ。

「でもマツコさんの腰には短くて……」(番組関係者)。着けられなかったのに「マツコ売れ」するとは。マツコさんの威力、恐るべしだ。

週刊朝日 2016年9月23日号

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山田美保子

山田美保子

山田美保子(やまだ・みほこ)/1957年生まれ。放送作家。コラムニスト。「踊る!さんま御殿!!」などテレビ番組の構成や雑誌の連載多数。TBS系「サンデー・ジャポン」などのコメンテーターやマーケティングアドバイザーも務める

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