ところで、今回ライブ参加を決意したもののネックはチケット購入だった。レッド・ツェッペリンの初来日でアリーナ席をプレイガイドですんなり買えた時代もあったのになあ、としみじみ思い返すが、いまや人気グループのチケットは発売後瞬殺売り切れというのは常識。

 たどり着いたのがチケット売買サイト。余ったチケットを出品するオークションサイトだ。売りたいチケットの一覧が表示され、価格や日程が自分の希望と合えばサイトを通じて売りたい人に申し込む。

 利益目的の転売を防ぐためにチケットの持参者が最初のチケット購入者かどうか抜き打ちチェックがある。だからチケットを売ってくれた人と一緒に入場するのがベスト。私は関東近県に住む男性から購入し、会場で待ち合わせて一緒に入場した。彼はサラリーマンで有休を乃木坂46のライブに使っているという。

 思い切り至福の時間にひたっているうちあっという間に時間が過ぎ、ライブは終盤を迎えていた。

 突然花火が上がり、地響きのような観客の歓声。私もサイリウムを振りながら若いファンといっしょに光と音の渦の中で、「本当に来てよかった、ありがとう」と背中を押してくれたファンたちに心から感謝していた。メンバーと同世代でずっと私に「パパ、キモい!」と言っていたのにライブ参加が決まると「夢がかなったね」と言ってくれた娘にもサンクス。

 まさに「太陽ノック」の歌詞「未来とは今が入り口」。思い切って入り口をくぐったら優しいファンが待っていた。

 かつて南沙織や麻丘めぐみに夢中になった世代だからこそ、アイドルライブを楽しむのはありじゃないですか。隠れ乃木坂46ファンのあなた、カミングアウトしましょうよ。みんなが参加すれば「女性席」「親子席」に次いで「シニア席」だって用意してくれるかもしれない、お願い秋元さん!

 最後に乃木坂46のみなさん、感動のライブをありがとう。また行きま~す。(土肥慎也)

週刊朝日 2016年9月16日号