なぜ、リベラルは勝てないのか(※イメージ)
なぜ、リベラルは勝てないのか(※イメージ)

 参院選で報道各社の世論調査では、改憲勢力が3分の2をうかがう勢いと報じられる。なぜ、リベラル陣営は勝てないのか。絶賛発売中の「緊急復刊朝日ジャーナル」で保守系論壇誌「月刊Hanada」の花田紀凱編集長とジャーナリストの田原総一朗氏が激論を戦わせた。

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花田 私が見ていると、リベラルの側はあまりに安倍首相の力を過大評価して、なんでもできると思っているんじゃないですか。

田原 リベラル側から見たら、安倍さんの力が強すぎて、こんちくしょう、憎らしいと思っているんだけど。なかなかそれを引きずり下ろせない。

花田 安倍さんは普通に、日本の将来に良かれと思うことを進めているだけです。きちんと批判することは必要だけど、朝日新聞なんて減ったとはいえ約650万部でしょ。テレビは視聴率1%で100万人という世界ですよ。十分すぎるほど力を持っている。それに比べたら、私が雑誌で発信していることなんて、微々たるものです。

田原 日本の将来と言うならば、今、一番の問題は対米従属になって、主体性がなくなっていることじゃないですか。花田さんは日本は自立すべきだと考えませんか?

花田 それはそうです。安倍首相もそう言っている。

田原 そうでしょうか。安倍首相は首相になる前は「東京裁判は間違いだ」と言っていたが、13年12月に靖国神社に参拝したら米国に「失望した」と言われ、豹変してしまったじゃないですか。

花田 米国に言われたことだけが原因ではないと思いますよ。豹変というのも違う。総理という立場であればいろいろなところに目配りをしなければならないし、米国や韓国の動向は無視できないでしょう。

田原 私は、安倍首相はロマンチストとリアリストの二つの顔を持っている。ロマンチストの安倍首相は東京裁判は間違いだと言い、靖国神社にも行く。リアリストの安倍首相は靖国神社に行かない。この使い分けを、花田さんは肯定するの?

花田 肯定しますよ。政治家としてはその二つを使い分けないとやっていけない。もちろん私は毎年靖国神社に行ってほしいけれど、行かない立場も理解できる。世界の中で日本だけで生きていくわけにはいかないので、日本は日本の主張をしながら世界各国と協調しなければならない。どこと協調するべきかと考えると、中国やロシアではなく米国を選ぶということじゃないですか。

田原 そういう意見を対米従属と言うんじゃないですか。

花田 従属という言い方が良くない。どの国も他の国と協調しなければ生きていけません。

「緊急復刊 朝日ジャーナル」より抜粋