参院選の勝敗を左右する、32の1人区については、浅川氏が与党の「29勝3敗」と予測。数字だけ見ると“自民圧勝”に見えるが、「楽観できない情勢だ」と浅川氏は言う。

「32全ての1人区で、民進、共産、社民、生活による野党共闘の戦いとなり、激戦区が続出しています。今後、野党がうまく争点を設定し、野党間の選挙協力が濃密なものになれば、与党が『25勝7敗』と、結果が変わっていくでしょう」

 一方、角谷氏は、与党は「20勝12敗」と、かなり厳しめの数字を言い、こう補足する。

「野党統一候補が擁立されたことで、青森、岩手、宮城、山形、福島、新潟、山梨、長野、三重、滋賀、大分、沖縄では、与党議員が苦戦しています」

 なかでも注目すべきは、東京電力福島第一原発事故の被災者を今なお多く抱え、13年の参院選から改選数が2から1に削減された福島選挙区。国会閉会後の3日、安倍首相が真っ先に駆けつけたのが、岩城光英法務相の地元である、福島県いわき市だった。

「岩城さんは絶対に負けるわけにはいかない。岩城さんはがんばっています。福島の復興のために、日本が輝く国となるために、私は岩城さんを必要としています」

 安倍首相が街頭演説でそう叫ばざるをえないほど、“落選の危機”にあるのだ。現職閣僚が落選すれば、1強の安倍政権とはいえ、ダメージは大きい。

「岩城法相は、過去3回の選挙でいずれも2位当選。今回は大臣効果を期待していましたが、国会答弁でしどろもどろになる姿が目立ち、むしろマイナスになってしまった。もともと選挙に強くない上に、野党は現職の増子輝彦氏との争いで厳しいですね」(自民党選対関係者)

週刊朝日  2016年6月17日号より抜粋