訪日外国人のお金の使い道は、モノからサービスへ(※イメージ)
訪日外国人のお金の使い道は、モノからサービスへ(※イメージ)

 これからも人口減の進む日本だが、海外から来る人が増えると市場は膨らむ。訪日外国人の爆買いなどインバウンド効果が目立ったのも、2016年3月期決算の特徴だった。

 東京・銀座でも、大阪・ミナミでも、街を歩けば外国人の姿。百貨店やドラッグストアでは、高額品を惜しげもなく買ったり、日用品を大量にかごに入れたりする外国人を見かけることも多い。販売店からメーカーまで、多くの会社の業績の追い風になった。

 18期連続増益と勝ち組の小林製薬は、この流れをがっちりとつかんだ。

 好業績の要因の一つとなったのは、口コミサイトなどで広がったあるリスト。中国人が訪日旅行で買うべき品を並べた「12の神薬」だ。「熱さまシート」「サカムケア」など、小林製薬の製品が五つも含まれている。

 同社はこの商機をとらえ、金色の包装の「熱さまシート」など中国人好みの品も新たに発売した。インバウンドの需要が前年比2倍近くに膨らみ、売り上げ増に大きく貢献した。

 薬だけでなく化粧品も、海外からの観光客に人気だ。コーセーは主力の「雪肌精」などの売れ行きが好調で、最高益を更新した。

 ただ、インバウンドの恩恵を巡っては、勝ち・負けがこれから鮮明になってくるかもしれない。

 株式に関する著書が多いラジオNIKKEIの和島英樹さんは言う。

次のページ