「爆買いの勢いは弱まっています。インバウンド需要で伸びてきた百貨店は今後、厳しいかじ取りを迫られるかもしれません。ドラッグストアも同じです」

 中国政府は今年、観光客が日本などで買って中国に持ち込む土産品への関税を引き上げた。このため、日本で買って帰国するのでなく、インターネット通販などを通じて日本製品を買う流れが広がりそうだ。

 一方で、おむつメーカーの花王やユニ・チャーム、哺乳瓶を手掛けるピジョンなどのメーカーは引き続き、追い風を見込めるという。

 最近は訪日外国人のお金の使い方も変わってきた。

 前出の和島さんは言う。「旅行でのお金の使い道は、モノからサービスに移りつつあります。茶道や歌舞伎など日本文化を体験するのです。今後、旅行関連企業の特需が増えるでしょう」

 株式アナリストの今北洋さんは、インバウンド需要の向かう先について、意外な場所をあげる。

「中国人は馬好きが多いそうです。競馬場を運営する東京都競馬やよみうりランドにも、これから恩恵がありそうですね」

 今の百貨店のように、競馬場が中国人でごった返す。近い将来、そんな日が来るのかもしれない。

週刊朝日  2016年6月3日号より抜粋