◇野草居食屋[台北]


台北市同安街28巷1号

 戦前は台北帝国大学(現・台湾大学)で教鞭をとった日本人の住まいだった。戦後住んだ台湾人教授が野草の研究者だったことから、この名で店をオープンした。

 長期間無人で保存状態は悪かったが、柱や梁は民家だった時代のまま残した。食べ物を通し、台湾人に日本の食文化を知ってもらうのがコンセプトで、板前が寿司も握る。「日本気分が味わえる」と地元で人気の店だ。

◇青田七六[台北]
台北市青田街7巷6号

 日本統治時代の家屋が並ぶ、閑静な住宅街にあるカフェ。戦前は付近一帯が大学教員の宿舎で、この建物は、微生物学者だった足立仁・台北帝国大学教授一家が終戦まで暮らした。戦後は、地質学を研究した馬廷英教授に引き継がれた。

 建築当時モダンだった和洋折衷のデザイン。かつての食堂、書斎、子ども部屋などをそのままカフェとして利用している。両教授ゆかりのものを展示しているほか、足立教授が研究したさとうきびを用いたドリンクなど、歴史にちなんだメニューもある。

「『昔はこんな家に住んでいたわ』と、日本時代を懐かしむお客様も来ます」(同店を運営する楊新淇さん)

※1:廃墟の墟のつくりが虚

週刊朝日  2016年5月20日号