保育園新設に“反対”する理由は…(※イメージ)
保育園新設に“反対”する理由は…(※イメージ)

“全国ワースト1”の待機児童数1182人(2015年4月1日時点)を抱える東京都世田谷区。市川市と同様に、区内2カ所で認可保育園新設をめぐる“反対運動”が起こった。取材をすると、なんと自民党の元閣僚や有名企業の社長の名前も出てきた。

 世田谷区では、保育園の総定員数を増やしているが、いったいどうなっているのか。本誌は、反対運動が起きている新設予定地へと向かった。

 1カ所目は、東急東横線田園調布駅から徒歩15分ほど、閑静な住宅街だった。現在は更地だが、定員約60人の認可保育園が、17年4月の開園を目指している。車や人通りも少なく、落ち着いた雰囲気。ところが、予定地の近隣十数軒の塀には、<開設反対!!住環境の破壊!><危ない三叉路、坂道、一方通行、ここは保育園には向いていません>。黄色の目立つ横断幕が今年2月下旬から掲げられていた。

 地域住民によると、昨年6月ごろから住民対象の説明会が開催され、住民から「地価の下落」「交通量増加による危険性」「騒音問題」などを理由に、反対の声が上がった。初回説明会には、自民党の大野功統(よしのり)元防衛庁長官(80)の姿もあったという。

「大野先生は『この土地に新設する妥当性の説明が必要』と冷静に意見を述べられている時もありましたが、ものすごい剣幕で反対でした。周囲からは『先生、先生』とおだてられていた。住民と役所のかけ橋になるなど“公人”としてのふるまいをしてほしかった」(50代の区民)

 区は今後、民間の事業者選定をする予定だが、反対の署名をした住民は言う。

「保育園の重要性はわかりますが、高齢者世帯が多いこの地域で、勢いよく走る自転車がたくさん通るのは怖い。地域のコンセンサスがないままに話が進んでいるので、できれば静かに暮らしていきたいです」

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