それを象徴するのが、優待銘柄の値動き。サンワカンパニーは3月1日に優待制度を変更すると発表した直後にストップ高を記録。100株以上保有する株主を対象に同社運営サイトで利用できる6千円分の割引券を贈呈する優待制度を、500株以上で同割引券3万円分、5千株以上で同35万円分に変更したところ、最大優待利回りが15%超に跳ね上がったため買いを集めた。

 同じく、2月にはオンライン英会話のレアジョブが100株以上保有の株主に対して英会話スクールのキャッシュバックチケット1万円分を贈呈する株主優待制度の新設を発表。その直後にストップ高になった。優待を拡充もしくは新設した銘柄は総じて急反発しているのだ。

 背景には、昨年6月に東証が導入した「コーポレートガバナンス・コード」と“もの言う株主”の存在がある。カブドットコム証券投資アナリストの藤井明代氏が話す。

「政府の日本再興戦略に基づき、企業が株を保有する際には合理的な説明が求められるようになりました。これにより企業間の株式持ち合いを解消する動きが加速。海外投資家の発言力が増すなかで、個人投資家をターゲットに新たな安定株主を確保しようと優待を新設する企業が増えたのだと見ています」

週刊朝日 2016年3月18日号より抜粋