「配偶者控除から外れても負担が急に大きくならないよう、『配偶者特別控除』という制度があります。給与収入が141万円未満で、夫の所得が1千万円以下なら対象になるのに、配偶者控除と用紙が異なるので年末調整の際に気がつかない人もいるようです」(同)

 また、扶養対象の子どもがいる人も控除が漏れている例がある。学生の子どもの国民年金保険料を代わりに支払っているなら、その全額を親の社会保険料控除に含められるのだ。

「いずれも年末調整で手続きできますが、手続きを忘れた場合も確定申告すれば控除を受けられます」(同)

 また、年の途中で退職・転職をした人は所得税を払いすぎている可能性があるうえ、無職期間があった人はその間の国民年金保険料の控除ができていない可能性があるという。確認のうえ、申告しておきたい。

◇16年の節税準備

 今回の確定申告は15年分なので関係ないが、16年から給与の一部に税金がかからなくなる「給与所得控除」の上限が引き下げられた。

「収入の大きい会社員には確実に増税になるので、今からふるさと納税をしたり医療費の領収書の保管を徹底するなどの節税対策を進めておくといいのでは」(多くの著書を持つ「ぶっちゃけ税理士」こと岩松正記氏)

 また、16年度の税制改正大綱では、空き家対策と3世代同居のためのリフォームに関する税制優遇が追加された。法案が成立すれば、4月以降に相続した空き家を売却した場合に3千万円までは税金がかからなくなるほか、3世代同居のためにキッチンや浴室、トイレ、玄関を増設した場合、工事費用(250万円を限度)の10%にあたる額が所得税から差し引かれる。住宅ローンで調達したなら5年間までのローン控除との選択も可能だ。

「リフォーム予定がある人は、4月まで様子見するのがいいかもしれません」(同)

 ちなみに、16年分となる来年の確定申告からはマイナンバーの記載が必要になる。添付書類が減るなど確定申告がラクになることが期待されるが、自宅に届いた通知カードをなくさないよう要注意!

◇確定申告で税金を取り戻せるかもしれないチェックリスト
1:年末調整の書類の書き方や項目の内容がよくわからないまま提出してしまった
2:ふるさと納税をした
3:病院にかかったり市販薬をよく買う、あるいはそういう人が家族にいる
4:年金暮らしの親がいる
5:離れて暮らす子どもがいる
6:夫と死別した、あるいは離婚した
7:妻が働き始めた
8:2015年に転職・退職をした
9:学生の子どもの国民年金保険料を払っている
10:複数の証券会社や銀行で投資をしている

週刊朝日 2016年2月12日号より抜粋