投資の損益

 株式市場の変動が大きかった15年は、投資の損益にもばらつきがあるだろう。「源泉徴収ありの特定口座」を利用していれば20%の税が天引きされているので申告の必要はないが、損失が出たなら申告しておこう。3年間の繰越控除を受けられ、今後の利益と相殺できる。

 また、複数の証券会社を利用する人で損失が出た口座がある場合、申告すれば損益を通算し、払いすぎた税金を取り戻せる。

 しかし、夫が配偶者控除を受ける専業主婦など、扶養されている人の場合、利益を申告すると所得が増えて控除から外れる恐れがある。多くの著書を持つ「ぶっちゃけ税理士」こと岩松正記氏は、扶養のままで税金を取り戻す「裏ワザ」があるとアドバイスする。

 仮にA証券で100万円の利益(20万円の税金が源泉徴収済み)、B証券で30万円の損失、C証券で20万円の利益(4万円が源泉徴収済み)となったケースがあるとする。すでに24万円が源泉徴収され申告の義務はないが、全口座を合わせると利益は90万円。本来の税額はその2割の18万円なので、払いすぎていることになる。この場合、申告で6万円を取り戻せる。

 ところが扶養対象の人の場合、申告すると所得に90万円が加算され、控除を受けられなくなってしまう。そこで、B証券とC証券の分だけを合算し、10万円の損失を確定申告するのだ。A証券で源泉徴収された分は取り戻せないが、C証券で天引きされた4万円の還付を受けられる。

 銀行で投資信託などを買った場合の損益も対象になる。扶養だからとあきらめず申告しておきたい。

週刊朝日 2016年2月12日号より抜粋