動物写真家・岩合光昭さんの世界のを訪ねる旅。今回は、スペイン・アタルベイタルの猫。

*  *  *

 スペイン南部のシエラ・ネバダ山脈麓の小さな村、アタルベイタル。猫を探して、古い建物が多く残る白壁の路地を歩く。

 すれ違う村人に話しかけられ、足を止める。ふと視線を上げると、猫がいた。深紅のカーテンと真っ赤なゼラニウムの花、窓辺まで情熱の国を物語る。

 猫は2階のベランダの手すりから身を乗り出し、行き交う人々の姿を興味深そうに見つめている。すっくと立ち上がり、首を伸ばして通りを眺めるお得意のポーズで、今日も村を見守っている。

岩合光昭(いわごう・みつあき)
1950年生まれ。動物写真家。NHK BSプレミアムにて「岩合光昭の世界ネコ歩き」放送中。

【関連リンク】
デジタル岩合 http://www.digitaliwago.com/

週刊朝日  2016年1月22日号

著者プロフィールを見る
岩合光昭

岩合光昭

岩合光昭(いわごう・みつあき)/1950年生まれ。動物写真家。1980年雑誌「アサヒグラフ」での連載「海からの手紙」で第5回木村伊兵衛写真賞を受賞。1982~84年アフリカ・タンザニアのセレンゲティ国立公園に滞在。このとき撮影した写真集『おきて』が全世界でベストセラーに。1986年ライオンの親子の写真が、米「ナショナルジオグラフィック」誌の表紙に。94年、スノーモンキーの写真で、日本人として唯一、2度目の表紙を飾る。2012年NHK BSプレミアムで「岩合光昭の世界ネコ歩き」のオンエア開始。著書に『日本のねこみち』『世界のねこみち』『岩合光昭写真集 猫にまた旅』『ふるさとのねこ』『ネコを撮る』『ネコへの恋文』など多数。初監督作品となる映画「ねことじいちゃん」のBlu-rayとDVDが発売中。

岩合光昭の記事一覧はこちら