人口減の地方では…(※イメージ)
人口減の地方では…(※イメージ)

 企業の内部保留だけが増え、個人消費に繋がらず、失敗したアベノミクス。

 しかし、誤算はもう一つある。大企業から中小企業に、大都市から地方にお金が回る「トリクルダウン効果」が起こらなかったことだ。

 東京商工リサーチによると、15年の倒産件数は14年の9731件から大幅に減り、9千件を下回る可能性が高いという。ところが、従業員5人未満の零細企業の倒産が、総件数の7割を占めた。友田信男情報本部長が言う。

「15年は11月までの集計で5765件が倒産しました。倒産件数は年々増加し、総件数に対して71%は過去最高です。中小企業の状況は、業績改善に向かっている企業もありますが、波に乗り損ねている企業もあります。人件費、資材の高騰などが足かせになっています」

 個人消費が伸び悩むことが売り上げに直結する卸、小売、サービス業の分野で業績改善の遅れが目立っているという。“爆買い”で、大都市の大手百貨店や量販店は恩恵を受けているが、人口減の地方の“シャッター通り”は変わらない。

「今年は、『中小企業金融円滑化法』終了後に、3年間返済の猶予が与えられその間に経営革新を行う『暫定リスケ』が終了します。資金繰りが悪化して、倒産予備軍が増える可能性もあります」(友田氏)

週刊朝日  2016年1月22日号