迷走する地方創生 全国に大混乱生んだ「消滅可能性自治体」ショック (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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迷走する地方創生 全国に大混乱生んだ「消滅可能性自治体」ショック

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消滅可能性自治体を提唱した増田氏 (c)朝日新聞社 

消滅可能性自治体を提唱した増田氏 (c)朝日新聞社 

 東京と地方のギャップに、針路を見失ってしまった地方創生。その原因を探ると、地方創生が注目を集めるきっかけとなった、増田寛也元総務相が座長を務める有識者会議「日本創成会議」のレポート(増田レポート)に行き着く。

 増田レポートの分析手法はシンプルで、人口統計を調査して、2040年までに、若年女性の数が5割以下に減ってしまう市区町村を「消滅可能性都市」と定義した。その数は日本全国で896。これが全国の自治体関係者のみならず、幅広い人々に衝撃を与えた。レポートをまとめた『地方消滅 東京一極集中が招く人口急減』(中公新書)はベストセラーにもなった。

 たしかに、増田レポートでは人口減少問題を幅広い層に訴えることに成功した。一方で、地方が抱えるさまざまな課題を、人口問題に矮小(わいしょう)化したとの批判もある。日本全国の農山村を取材してきた、農山漁村文化協会の甲斐良治氏は言う。

「増田レポートの影響で、農山村集落に住んでいる人は都市部に撤退すべきだ、との論陣を張る人が出てきた。しかし、それは間違いです。欧州では、都市から農村に移住する人が増えていて、日本でも東日本大震災以降、その動きが顕著になっている。増田レポートは10年の国勢調査をもとに分析しているので、3.11以後の農山村の変化が反映されていません」

 ここ数年は若者の移住希望者が増えている。

 たとえば、増田レポートで消滅可能性自治体と認定された島根県邑南(おおなん)町は、13年度に人口減少にストップがかかり、増加に転じた。しかも、合計特殊出生率は2.65(12年度)。安倍首相が数値目標に掲げる「希望出生率1.8」をはるかに上回っている。

「島根県中山間地域研究センターの藤山浩(こう)研究統括監によると、いま、人口が増えているのは地方都市ではなく、“田舎のなかの田舎”です。島根県では離島の海士(あま)町などでも人口が増えている。邑南町は、子育て日本一の村を目指して、移住者へのケアも徹底してきた。移住してきたシングルマザーが、町在住の男性と再婚したケースもあります」(甲斐氏)

 香川県三木町の植松恵美子副町長も、人口問題はあくまで地方が抱える課題の一つにすぎないと指摘する。


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