「誠に恐縮ですが、現在先進医療会議において審議中の案件であり、審査対象となっている現状では取材にお応えすることは差し控えさせて頂きたいと存じます」

 日本の粒子線治療は、海外から患者を呼び込む「医療ツーリズム」の牽引役になると目算されてきた。

 安倍政権は成長戦略に健康・医療を重点分野として掲げ、医療の国際展開を推進していくのだという。日本政策投資銀行の試算では、20年には日本への医療ツーリストが42万人、市場規模およそ5500億円を見込んでいる。

「がん粒子線治療は日本特有の技術で、海外からの注目度は高い」(産業調査部)

 要は“爆買い”中国人富裕層のインバウンド消費を医療分野でも当て込んでいるわけだ。

 だが、政府の皮算用もろとも、もはや“自壊”を免れないのではないか。

週刊朝日 2015年9月25日号より抜粋